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日本代表の憂鬱

長谷部誠

Japan crash out in Asian Cup

写真・文・原悦生

Text&Photos:Etsuo Hara

 

アジア王者日本の早すぎる敗退は、開催国オーストラリアにも少なからず驚きを与えた。

オーストラリアは、「準決勝は日本との戦いになる」と考えていたし、オーストラリアが韓国に敗れて2位になった時点で、「準決勝は日本と」、という表現を何度聞いたことだろう。

監督は否定したが、すでにノックアウトステージ進出を決めていたオーストラリアはターンオーバーととれる先発メンバーでグループリーグ第3戦を韓国と戦って敗れた。地元メディアは監督を非難したが、休養はのちの戦いに効果を上げることになった。

その一方で、2勝していたが、3戦目で敗退の可能性を残していた日本は、3戦とも同じ先発で試合に臨んだ。夏の試合で同じメンバーで戦い続けることの負担を度外視したアギーレの選択だった。

「サッカーのことしか話さない」と第2戦の前日記者会見で、スペインでの八百長疑惑告発問題を交わしたアギーレだったが、真偽はどうであれ、アギーレにプレッシャーは付きまとった。

平静を装っても、指揮官としては心理的にすでに疑問符がついていた。

ノックアウトに入ったシドニーでのUAE戦。シュートを打てどもゴールを決められない日本は、そんな不安定なアギーレの心を映していたかのようにみえた。

柴崎のゴールでやっと追い付いた後も、ツキは戻らなかった。

ペナルティ・シュートアウトの結果はきれいごとを言ったところで、勝負の神にも見放されていた。

新しいアジア王者は、韓国を延長で下したオーストラリアだった。