乾、原口のスーパーゴールも勝利できず!ベルギーが奇跡の逆転劇!
ワールドカップ決勝トーナメント1回戦、ベルギー対日本の一戦は劇的な幕切れとなった。
結果としては3-2でベルギーの勝利。
内容としては「善戦」と称賛されているが、むしろ勝ちきれなかったことは完全な力不足と采配ミスだ。
前半、日本は予定通りともいえる0−0の試合を演じた。
チャンスを作る場面もあったが、むしろリードして長い時間に渡って本気のベルギーを相手にすることのほうがリスクが高い。
だとすれば前半両者無得点は最高の結果だった。
問題は後半だ。
前がかりになるベルギーに勝機を見出すなら、カウンターでの得点しかない。
それがみごとにハマったのが48分(後半3分)の原口のゴールだ。
柴崎の絶妙なスルーパスに走り込んだ原口は、ちいさなキックフェイントを入れた後に右足を一閃。
ボールはみごとに左サイドネットに吸い込まれた。
待望の1点は、これほど最高のタイミングはないという後半開始直後。
最高の時間だった。
さらに、この試合における日本の番狂わせはこれだけではなかった。
52分、ベルギーのペナルティーエリア付近で香川がボールをキープして乾へ。
乾が思い切って右足を一閃すると、今後は右へ無回転シュートがベルギーゴールへ突き刺さる。
ベルギー相手に後半残り40分で2-0。
この瞬間に誰もがこの大会の最大の番狂わせを予感したに違いない。
しかし、しかしである。
ここから残りの時間をどのように進めさせるか、急増指揮官にはまったくプランがなかったのである。
あせったベルギーは65分にフェライニ、シャドリを投入。
結果、この選手交代がみごとに当たることになるので、指揮官の能力は完全にベルギーに軍配だったのだ。
交代からわずか4分後の69分にフェルトンゲンが反撃の狼煙となるゴールで2-1と1点差。
そして74分にはフェライニが同点ゴール。
日本の選手交代はこの後のことだ。
しかも本田、山口のふたり。
完全に後手に回った采配だった。
最終的に日本は後半アディショナルタイムに逆転ゴールを許し世紀の大番狂わせを逃した。
まったくおそまつな結末である。
ベルギーの交代をみて、高さやフィジカルに対抗するなら植田や槙野という選択肢もあるはずだが、そんな采配をとれるような力量は急増監督の西野朗にはなかったのである。
また、こんなことを想像してしまう。
日本はグループリーグ最終戦で負けていながら時間稼ぎをして決勝トーナメント進出を果たした。
賛否両論だが物議を醸したのは間違いなく事実だった。
現地でみている観客はもちろん、多くのテレビ観戦者がいるなか、こんな愚かな指揮をとってしまったことで、後悔の念があったのかもしれない。
だからベルギー戦ではすべてを出し切って、潔く戦うのだと。
本来、取るべき采配はまったく逆ではないだろうか。
例えばこのベルギー戦で2点をリードした時点で、パス回しをするなり、守備的な選手をいれるなり、いくらでも手は打てたはずだ。
しかしそれをしなかった。
いやできなかった。
「次のステップへ」と言いながら、批判も覚悟で負け試合で時間稼ぎしておきながら、リードしたあとの策がまったくなかったのである。
まったくもってお粗末で、その場しのぎではないだろうか。
多くのメディアが讃えたベルギー対日本の一戦。
しかしよくよく考えてみれば、奇跡の勝利を相手に与えるために、最高の脇役を演じさせられたようなものだ。
最高のパフォーマンスを見せてくれた選手とは裏腹に、まったく策のない監督によって「つまらない結果」になってしまった。
結果としてロシアワールドカップの日本代表は、10人のコロンビアに勝利をおさめただけだ。
これが求めていた結果なのだろうか?
ベルギー対日本の一戦は、まだまだレベルが低いと思い知らされた「世紀の凡戦」だったというべきではないだろうか。