【2024年6月1日 ボルシア・ドルトムント 0-2 レアル・マドリード ロンドン・ウェンブリースタジアム】
得点
74分 ダニエル・カルバハル(レアル)
83分 ヴィニシウス・ジュニオール(レアル)
ビッグイヤーを掲げるトニ・クロース。時代が変わっても変わらない勝負強さを持つ白い巨人が15度目となる欧州制覇を達成した。
前半はドルトムントのペースとなった。ドルトムントに最終ラインからのフィードを許したレアルは守備に追われ、さらにプレスがかかりきらずにチャンスを作らせてしまった。
攻撃では中央へのボールを厳しく潰され、ジュード・ベリンガムをもってしてもボールを収められず。前半のレアルは攻守どちらでも強さを見せられなかった。
ボールを持っても外側で回すことしかできず、ロドリゴとヴィニシウスのツートップは自分のプレーをさせてもらえないまま前半を終えた。
我慢の試合となったレアルだが、度重なるピンチを凌いでなんとか0-0で前半を終えた。
後半が始まると、カルロ・アンチェロッティ監督の修正力が際立った。出口の見つからないボール保持からカウンターでピンチを招いていた前半の戦い方をやめ、ドルトムントにボールを持たせ、肉を切らせて骨を断つサッカーへと変貌。
フェデリコ・バルベルデ(写真)とエドゥアルド・カマヴィンガの強度が中盤を制し、ボールを持たされたドルトムントの攻撃を潰していった。守備から転じる素早いレアルの攻撃に対し、ドルトムントは前半ほど厳しく寄せることができず。効率よく押し込むレアルがセットプレーの機会を増やしていった。
74分にコーナーキックから先制すると、83分にはドルトムントのパスミスから追加点が決まり2点差に。苦しみ、我慢し、粘ったレアルが優勝を掴んだ。
GKのティボー・クルトワはこの試合が今シーズン初のCLだった。彼やルカ・モドリッチ、トニ・クロース、ナチョ・フェルナンデス、ダニエル・カルバハルらが新世代のチームを支え、レアルは新時代を迎えている。
歓喜の時を楽しむヴィニシウス(中央)やホセル(左)。
この大会を制したレアルに、かつてのギャラクティコ時代の面影はない。それだけでなく、クリスティアーノ・ロナウドやギャレス・ベイルが強烈な個で試合を決めていた時代とも大きく異なっている。
もちろんスター選手は揃っているが、今のレアルは個によってタイトルがもたらされるわけではない。この試合がそうであったように、明確な強さを見せない試合も少なくない。それでも、結果は手に入れる。現代版のレアルは、全員がチームへの貢献を欠かさないことによって強さを保ち、勝者となる。
そして、どんな変化があろうとも、レアル特有の唯一無二の勝負強さはいつの時代でも変わらない。常勝であり続けるためのメンタリティーは、通常は勝利することによって受け継がれ続けるが、レアルの場合はそれだけではない。その精神は、クラブそのものに染み付いている。どんな変化があろうとも、それがタイトルへの道を照らし、そしてより濃い染みとなる。
時代に合わせたチームにアップデートされ続ける世界最高の常勝クラブは、この夜から16度目の欧州制覇に向けて歩を進める。