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「カタールへの最終アピールを制したのは」

【2024年1月1日 日本5-0タイ 東京・国立競技場】

得点;50分 田中碧(日本)
72分 中村敬斗(日本)
74分 オウンゴール(日本)
82分 川村拓夢(日本)
90+1分 南野拓実(日本)

代表定着を狙う選手たちの戦い

三笘薫を負傷で欠くだけでなく、自国リーグ戦が行われる久保建英や遠藤航らを招集することができないタイミングでの開催となったこの試合は、藤井陽也、毎熊晟矢、森下龍矢、三浦颯太、佐野海舟、川村拓夢、伊藤涼太郎、奥抜侃志、細谷真大といった代表定着を狙う選手たちがプレーの機会を得た。

試合後にはアジアカップのメンバー発表が控えており、史上初の元日開催となった試合はカタール行きへの最終アピールの場でもあった。

初召集の伊藤涼太郎がトップ下でスタメン出場

昨年アルビレックス新潟でハイパフォーマンスを披露し、ベルギーのシント=トロイデンに移籍した伊藤涼太郎は今回が初召集。
この試合で注目と期待を集める1人となった彼はトップ下でスタメン出場し、ドリブルでの打開や鋭いパスを披露した。

ライン間でボールを受ける彼らしいプレーは何度かあったものの、最終局面での精彩を欠くことになり数字を残すことはできず。
前半が0-0で終わると、ハーフタイムに交代となった。

「アピールできなかったのは悔しい。切り替えて頑張っていきたい」 と次の機会を見据えた伊藤は、「良くはなかったが楽しかった」と代表戦ならではの刺激を振り返った。
天才マエストロは、結果にこだわる選手として次のチャンスを掴む。

しかし、自身が初召集であることだけでなく、周囲の選手たちのほとんどが代表での活動期間が短い、という状況でのプレーとなったこの試合では連携面で苦労することになった。

もちろんそれは当然のことであり、仕方のないことではあったが、たとえどんな状況であっても結果を残すスペシャルな存在であることを示せなければ1試合だけでの序列の逆転は起こらない、という状況でもあった。

カタールへの切符を手にした毎熊晟矢、佐野海舟、細谷真大

アピールに成功しカタールへの切符を手にしたのは、毎熊晟矢、佐野海舟、細谷真大の3人の国内組だった。

昨年9月の欧州遠征トルコ戦で起用に応える好パフォーマンスを披露し、一気に右サイドバックの選択肢として名を上げた毎熊は、この日も同等の質の高さを披露。

前半は伊東純也と、後半は中村敬斗と縦の関係になったセレッソ大阪のサイドバックは、どちらとも長く代表で共にプレーしているかのような好連携を見せ、森保ジャパンのストロングポイントであるサイドアタックの質の高さを引き出した。

1トップとしてフル出場を果たした細谷は、相手DFを背負うプレーや裏抜けでボールを引き出し続け、自身の特徴を発揮。

ゴールを奪うことはできなかったものの、コーナーキックをニアで合わせてオウンゴールを誘発。
U23代表のエース候補でもあるポテンシャルの高さを見せ、カタールへの切符を与えられた。

佐野はボランチとしてフル出場。大きな一歩で体を入れてボールを奪い、そのまま勢いよく持ち上がる得意なプレースタイルを90分を通して披露し続けた。

遠藤航と守田英正のダブルボランチに割って入ることは容易ではなく、さらに3人目にはこの日の先制点を決めただけでなく、代表戦でコンスタントに得点を重ねている田中碧がいるが、強度と思い切りの良さで負けていないことを示し、自身のプレーでチーム全体を前進させた。

佐野と同じくボランチでのプレーとなる川村拓夢は、アジアカップのメンバーには選ばれなかったものの途中出場でゴールを記録。
チーム屈指のハイレベルな競争が繰り広げられている3列目は、この先ますます森保監督を悩ませることになりそうだ。